「AQUA大陸」 制作者の立場から 飯塚 優子
「‘88さっぽろ野外演劇祭」は、
札幌演劇鑑賞会を中心に、
札幌芸術の森、HTB北海道テレビ放送などの
共催で開催された。
横浜ボートシアター、第三エロチカ、
一世風靡、上原まりの琵琶、
オンシアター自由劇場「上海バンスキング」
コンサートなど、当時、会員数急増で
勢いに乗っていた札幌えんかんの面目躍如たる
ラインナップだった。
地元で、ここに加わって芸術の森で
野外劇を上演できる劇団は、
アレフをおいて他に無かったと言える。
前年の茨戸の実績があり、
84年の札幌演劇祭参加の実績もあった。
今回の舞台は池の上。
張り出した舞台を縦横に使い、池に飛び込み、空にはセスナを飛ばした。
なんでも「救援のヒコーキ」がやってくる・・・、というような筋立てで、
丘珠から飛び立ったセスナが時間通り上空に飛来し、観客の目に映るほどの低空飛行で
通過するという段取りは、現在のように携帯が普及する以前のことでもあり、
トランシーバーを使ってもなかなか思い通りにはいかない。
セスナの助手席に乗っていたつれあいによれば、舞台に向って下降するときは本当に
怖かったとのことである。
当時、私は妊娠7ヶ月で、
行動が思い通りにならず、
公演当日も集合時間に30分遅刻した。
萬年さんから「あなたが遅れたために、
すべての予定が狂ってしまった」と叱られ、
本当に言い訳のしようもなく深謝した。
それにしても芸術の森は遠く、
携帯電話はまだ無かったのである。
舞台には大道芸人のギリヤーク尼ケ崎さんも出演した。日頃、大道で披露しているレパートリーの
ひとつをストーリーに組み入れる形だった。20年後の現在も、毎年夏に北海道を巡演する
ギリヤークさんだが、当時はこのように、様々なオプションに気軽に参加した。
思えば当時はまだ50歳前後、若かったのである。

(2007年5月30日)

