遊星天幕 百億光年漂流之段
PM8:00 「マルサ閉店の時間でございます」というアナウンス。
誰もが自分の目の前に、二つに分かれた道をみつける。
誰もがどちらかひとつの道しか選べない。そして誰もが、
自分で選んだ道を歩きながらこうつぶやく
「こんなはずじゃなかった・・・」
だったら、もうひとつの道を選んだ自分は、
いったいどこへ行ってしまったんだろう。
『パラレルワールド』
もうひとりの自分に会うために、そして百億光年未来の自分に会うために・・・
舞台は始まる。
役者はみな二役を与えられた。全く違うキャラクターを演じるこの芝居は、役者にとっても大いに楽しめるものだった。
しかし、衣装替えは大変である。衣装替えのスペースはシャッターの降りたエントランスであった。
シャッターの向うは大通公園である。
私は、博物学者に纏わりついている家出少女と、お上から十手を預かる親分の女将さん役であった。
現代風の衣装から浴衣と4回の衣装替えがあった。(髪型も変えた)裏では大わらわだった。
しかし、衣装はマルサが提供してくださり、店頭に並んでいる商品を着せていただいた。
女優にとって、その時の衣装選びは至福の時であった。
もちろん、アレフの衣装チーム小夜女工房は、いつも素晴らしい衣装を作ってくれていた事を申し添えたい。
萬年さんの劇作法には、妥協というものがなかったと思う。
殊に、小劇場の特殊な空間作りに関しては、
この頃のアレフには極めるものがあった。
それは、萬年さんが出してくるプランに対し、
スタッフ(役者もスタッフである)が、
そのプラン以上のものを作り出そうと、
それぞれ皆が努力していた結果だと思うのだ。
そして、その努力の根源には
「萬年さんの喜ぶ顔がみたい」
「萬年さんに褒められたい」
という単純なものがあったと思うのだ。
萬年さんはそんな素晴らしいスタッフに
囲まれていたんだとつくづく思う。
『パラレルワールド』 無限にあるどこかの世界で、そんな素晴らしいスタッフに囲まれて、芝居に没頭している萬
年さんがきっといる、と思いたい。