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今夜の番組チェック

遊星天幕 百億光年漂流之段

PM8:00 「マルサ閉店の時間でございます」というアナウンス。
シャッターが降りる。
この芝居は、マルサ15周年記念プロデュースで、
閉店後のマルサ1Fで行われたものだ。

開場PM8:15、開演PM8:30。
お客さんの目の入らぬ場所に、装置と共にスタンバイしていた私たちは、
一斉に動き出す。1Fの空間に黄緑・黒の三色幕のテントが吊られ、
装置が組まれ、客席が組まれ、音響・照明がセッティングされスタンバイする。
これをたったの15分で行わなければならないのだ。
この15分間は凄まじいものだった。
金曜と土曜は2回公演で、PM10:15開演のレイトショーも行われた。
チラシには「地下鉄最終には間に合います」と書かれた。

誰もが自分の目の前に、二つに分かれた道をみつける。
誰もがどちらかひとつの道しか選べない。そして誰もが、
自分で選んだ道を歩きながらこうつぶやく
「こんなはずじゃなかった・・・」
だったら、もうひとつの道を選んだ自分は、
いったいどこへ行ってしまったんだろう。

『パラレルワールド』

もうひとりの自分に会うために、そして百億光年未来の自分に会うために・・・

舞台は始まる。



役者はみな二役を与えられた。全く違うキャラクターを演じるこの芝居は、役者にとっても大いに楽しめるものだった。 しかし、衣装替えは大変である。衣装替えのスペースはシャッターの降りたエントランスであった。 シャッターの向うは大通公園である。

私は、博物学者に纏わりついている家出少女と、お上から十手を預かる親分の女将さん役であった。 現代風の衣装から浴衣と4回の衣装替えがあった。(髪型も変えた)裏では大わらわだった。

しかし、衣装はマルサが提供してくださり、店頭に並んでいる商品を着せていただいた。 女優にとって、その時の衣装選びは至福の時であった。 もちろん、アレフの衣装チーム小夜女工房は、いつも素晴らしい衣装を作ってくれていた事を申し添えたい。

萬年さんの劇作法には、妥協というものがなかったと思う。 殊に、小劇場の特殊な空間作りに関しては、 この頃のアレフには極めるものがあった。
それは、萬年さんが出してくるプランに対し、 スタッフ(役者もスタッフである)が、 そのプラン以上のものを作り出そうと、 それぞれ皆が努力していた結果だと思うのだ。 そして、その努力の根源には 「萬年さんの喜ぶ顔がみたい」 「萬年さんに褒められたい」 という単純なものがあったと思うのだ。
萬年さんはそんな素晴らしいスタッフに 囲まれていたんだとつくづく思う。

『パラレルワールド』 無限にあるどこかの世界で、そんな素晴らしいスタッフに囲まれて、芝居に没頭している萬年さんがきっといる、と思いたい。


                                 (文責 斉藤わこ)